2023.09.19
事例紹介
株式会社バイオマトリックス研究所|
NetSuite で属人化していた在庫・出荷管理業務から脱却
属人化していた在庫・出荷管理業務から脱却
基幹業務システムの刷新とともに業務プロセスを見直し
会社概要
【会社名】株式会社バイオマトリックス研究所
【本社】〒270-0101 千葉県流山市東深井105番地
【設立】2002年3月
【資本金】9,550万円
【従業員数】20名
【代表】野村 修
【WEBサイト】http://biomatrix.co.jp/
(2023年9月時点)
事業概要
東京理科大学発のバイオベンチャーとして設立。研究機関からの高度な要求にも耐えうる作製能力を活かし、各種感染症の抗体を開発し、迅速診断キット用原料としてキットメーカー各社に供給している。インフルエンザ診断キットの市場占有率は 9 割を超え、現在はマラリアなどの熱帯感染症抗体の製品化にも取り組んでいる。
感染症の迅速診断キット用原料の抗体を開発・販売するバイオマトリックス研究所は、クラウド ERP「Oracle NetSuite」を導入し、これまで Excel を使って手入力で対応してきた在庫・出荷管理業務の属人化を解消した。
導入前の課題
- さまざまな業務管理が Excel に依存しており、業務の属人化が生じる
- 非常にセンシティブな製品の特性に合わせて、特殊なシステム在庫管理を構築する必要がある
導入後の効果
- 柔軟性があり高いカスタマイズ性もある NetSuite を採用し、特殊要件に対応した基幹業務システムを構築
- 誰でも製品の在庫をリアルタイムに把握できるようになったことで生産計画を立てやすくなった
Excelでの属人化した管理により
在庫・出荷の状況把握が難しく入力ミスも発生
導入の背景・課題
東京理科大学発のバイオベンチャーとして 2002 年に設立したバイオマトリックス研究所。当初は DNA に結合して転写反応を活性化する転写因子抗体の開発や遺伝子情報受託解析といった事業からスタートし、2007 年にはインフルエンザ迅速診断キット用の原料抗体開発に着手。2010 年に同抗体を製品化したのちに、原料抗体に事業を集中させた。現在は呼吸器系感染症や熱帯感染症を診断するための原料抗体供給を通じ、世界の医療に貢献している。
そんな同社では、長年にわたってさまざまな業務の管理を Excel に頼ってきたという。
「当社では創業以来、在庫管理や出荷管理、生産計画などの業務に Excel を使っていました。それらの業務は少数の担当者が対応していたために属人化が進んでおり、在庫や出荷の状況を瞬時に把握するのが難しい状況でした。また、売上や仕入を管理する会計ソフトとの連携も手作業で行っていたために、入力ミスも発生していました」(バイオマトリックス研究所製品チームチームリーダー佐谷尚子氏)
このような課題を解決するために、バイオマトリックス研究所では本格的な基幹業務システムの構築を検討することにした。
「事業が急拡大したこともあり、従来の業務の見直しは喫緊の課題でした。そこで社内の業務改革・業務効率化を推進するチームを立ち上げ、新しい基幹業務システムを導入して業務プロセスを見直すことにしました」(佐谷氏)
非常に扱いがセンシティブな製品特性上
複雑な在庫管理にも対応する柔軟性は必須要件
選定のポイント
基幹業務システムの導入を決めたバイオマトリックス研究所では、ERP の選定に取り掛かったが、そこで別の課題に直面したという。
「当社には情報システムを専任で担当する社員がいないため、ERP を単に導入しても業務システムを構築・運用することができません。そこでシステムの運用負荷をできる限り軽減できるクラウド型の ERP を中心に、製品選定を進めることにしました」(佐谷氏)
こうして複数の ERP ソリューションを候補に挙げて比較検討した結果、バイオマトリックス研究所が導入を決定したのが Oracle NetSuite (以下、NetSuite) だった。
「当社の製品は、非常にセンシティブな “ナマモノ” であり、製品の在庫管理を行うシステムには、製品の特性に合わせて詳細にカスタマイズできる柔軟性が求められます。この部分を中心に比較検討したところ、当社のニーズを満たす最適な ERP が NetSuite でした」(佐谷氏)
そして、問い合わせを受けた日本オラクルがバイオマトリックス研究所に紹介したのがフォーブスだった。
「フォーブスは、システムの構築から運用管理までを支援してくれるベンダーとして紹介されました。ベンチャーへの導入実績も豊富にあり、情報システム部門がない当社にとっても最適なパートナーだと考え、フォーブスに基幹業務システムの構築を依頼することにしました」(佐谷氏)
製品理解から始め特殊なシステム構築に対応
在庫のリアルタイムな把握が可能に
導入効果
バイオマトリックス研究所が NetSuite の導入を決定したのは 2021 年 5 月のこと。製品の特殊性をフォーブスに説明することからプロジェクトを始めたという。
「フォーブスにはまず、製造スキームが非常に特殊な製品の管理が必要であることを説明しました。それに対してフォーブスは、製品への理解を深めるために、かなりの時間を割いて対応していただきました。さらに、複雑化属人化が進んでいた膨大な情報量の Excel ワークシートを分析し、そこから誰もが理解できる業務プロセスへと見直す作業に取り組み、2022 年度からの稼働を目指してシステムの設計に着手しました」(佐谷氏)
基幹システムの設計の段階において特に苦労したのは Excel ワークシートの分析だった。
「液体である当社の製品は、単純に出荷量のみを入力すればよいものではありません。詳細は省きますが、この部分の対応が難しく、本番稼働のスケジュールが延びてしまいました」(佐谷氏)
こうした苦労を重ねながらも、2023 年 3 月には NetSuite の本番運用を開始した。
「NetSuite へ業務システムを移行したことにより、誰でも製品の在庫をリアルタイムに把握できるようになりました。これにより、生産計画も立てやすくなくなりました。NetSuite の操作性は直感的でないものの、その分、自社に合わせた形で画面や帳票をカスタマイズできるので、当社のニーズに合致する最適なシステムを導入できたと満足しています」(佐谷氏)
NetSuiteの最大活用を目指し
予算管理やパートナーとの連携などを検討
今後の展開
バイオマトリックス研究所は、導入決定から 2 年にわたってシステム設計・構築を担当したフォーブスを次のように評価する。
「およそ 2 年間、フォーブスはずっと当社に寄り添ってくれました。使い方が分からないときも、質問をすれば手順書を合わせて回答してもらえるなど、当社の事情に合わせた手厚い支援・サポート体制を敷いてくださったことには、非常に感謝しています」(佐谷氏)
今後は、NetSuite 活用範囲を拡大させていくことを考えている。
「今回のシステム構築では会計システムを取り込むことができませんでした。NetSuite がせっかく多機能なのに活用しきれていないので、将来的には銀行取引関係など外部とのやりとりも含めて NetSuite を最大限活用していく予定です。また、生産計画に必要な予算管理なども行いたいと考えています」(佐谷氏)
バイオマトリックス研究所はこうした基幹業務システム以外にも、製品の出荷作業を自動化するような仕組みの導入を検討しているとのことだ。